二人の影が庭でたゆたう。
「俺がお前を撃ち殺しゃあいい。それだけだ」
左頬に立派な傷をこさえた男がにやりと笑う。
ぶわ、と風が吹き、私の髪を掻き乱す。
「好きにすればいい。それでアンタとの日々を忘れられるのなら」
右手に持った短刀をかちゃん、と地面に落とす。柄に付いた鈴が静かに鳴る。
ちゃりん。
「まだそれを付けていたのか。お前も相当の莫迦だな」
ふん、と鼻を鳴らし男は銃を此方へ向けた。
「愛していたのだがな。政宗様に知られてしまった今、お前を始末するしかないんだ」
ちき、と空に銃身を掲げ、一発悲しげに打った。
辺り一面に銃声が響く。それに驚いて鳥達が一斉に飛び立つ。
「本当は二発入っていたんだがな。一発で確実に仕留める」
「格好つけるとこ。アンタらしいや」
私は軽く微笑すると、自分で自分の首を絞めた。
「追い詰められると自虐的になる。お前らしいな」
肉に爪が食い込むのを楽しむかのように、私はいっそう強く締め付けた。
相棒の鷹が大きな影を作って宙を舞う。
「 」
「そのまま何も喋らなくていい。お前はそのまま死んでしまうといい」
今だ空を捕らえていた銃を此方へ再び向ける。
銃口が此方を睨みつけてくる。
早く殺せば良いのに。
「これで最後だ。愛していたよ、お前の全て」
つう、とらしくもない涙を一筋流すと引き金を引いた。
ぱあん
(その一発は慈愛か慈悲か、それとも 死ねばいいのにというただの欲望の塊か)