眩い光が私を射す。いや、刺す。




前にもこんな感じがあった気がする。

太陽が痛いと感じる。

一体、一体如何したというのか。




仰向けの体をむくりと起き上がらせる。

どこも痛くはない。むしろ睡魔が心地よい眠りへと誘ってくれているようであった。

辺りを見回すと、迷彩柄の上着が壁に掛けられている。

他には社会に出たばかりの大人には丁度いいものが多くあった。

(ここは…)

どこだろう、そう考えて腕を組む。それはもう、熟年のおじさんのように。

眠気を上手く覚まそうとぐるりぐるりと首を回す。

しかし下手な方向に曲がり、首から頭へ、そして脳へダイレクトに痛みが伝わってきてしまった。

二日酔い(といってもまだお酒は飲んではいけないギリギリの未成年である)特有の頭痛に似た痛みが自分の脳細胞を破壊しているようだった。

(こうやって人間の脳内環境の破壊が進んでいくわけだ、というか脳内環境って…なんだ?)

ずきずきと痛む頭を押さえ、「うあー」と言葉にならない声を漏らす。

自分の家ではない。というか、先ほどまで私は外にいたのではないかと思う。

「おや、私は知らぬ間に他人の家にあがりこんでいたのでしょうか」

はて、と頭上になてなを描き、取り敢えずリビングと思しき部屋へ出る。

部屋の作りからしてマンションなのだろうか。やや狭めの部屋に、大きなソファが偉そうに置かれている。

透明のガラステーブルの上には大量の求人広告やら履歴書、そしていつもあの人が付けている迷彩柄のバンダナ。

(ああ、佐助なのかあ)

しかし何故私は佐助の部屋なんかにいるのだろうか。

政宗を追いかけて、捕まえて…うむ?逃げられたのではなかったか?

むんむんとあるだけの記憶を頼りに頭を整理する。(少し頭痛に邪魔をされるのだが…)

「あ、起きた?大丈夫?」

トイレから丁度出てきた佐助にそう聞かれ、「ほえ?」と声を漏らしてきょとんとしてしまった。

「あー…うん、えと、本当に大丈夫…?」

「えあ、大丈夫、それより政宗は…」

ああ、と口を隠すように佐助は考えるような格好をした。

「伊達の旦那ねえ…さっきちゃんが追いかけてたでしょ?でもちゃんってば、追いかけている間に倒れちゃって…多分外暑かったから、熱にやられたんじゃないかな。」

ああそうか、なるほどね…倒れて見失ったって訳かあ、あはははは

「ってそれじゃあ、どこに行ったかわからないじゃない!」
「俺様は追っかけてないから知らないよ、ちゃんを家まで運んだんだから、お姫様抱っこでね♪」

「ああ。それはそれはすみませんでし…お姫様抱っこですか!?」

楽しかったよ♪佐助はそう微笑んでキッチンへと足を運んだ。

お姫様抱っこというと、あのお姫様抱っこであって、知り合いとかに見られたら勘違いされるわけであって、それでそれで…

佐助はかっこいいし、何でも出来るし、なんていうか理想の彼氏というか。

でもそういう問題じゃなくて!もし政宗にばれたら恐ろしいことになってしまうんだろうなあ。

拳骨二つで頭ぐりぐり程度じゃ済まされない気が…する…

わあああ!もー知らない!なーんにも知らない!ということにしておこう!はい、抹消!抹消!

「何さっきからばたばたしてるの?あ、もしかしてお姫様抱っこがそんなに嬉しかったの?ちゃんってば…可愛いなあ」

両手に麦茶の入ったグラスを持ってにやにやとしている佐助が、先程から落ち着きのない動きをしていた私を見ていた。

グラスを置くと、中の氷がカランと音を立て麦茶を渦巻かせていた。

よいしょと床に腰かけた佐助をグラス越しに見据える。

大変綺麗な顔立ちである。あまり焼けていない肌と長い睫毛、綺麗な唇…

はて、前にもこんなことを考えた気がする。デジャヴというやつだろうか。ああ、いつだったか…

「あ、政宗!」

そうだ政宗の顔を見てる時だった。あの繊細な顔立ちに見とれていた。

「な、何?伊達の旦那がどうした?」

「あ、いや…そういえば聞きたいことが山ほどあるんだけど。」

「何?」

「料理はどうしたのかとか、政宗の昔の彼女のことをもっと詳しくとか…」

ああ、そうだね。佐助は正座を崩して胡坐に座りなおした。

自分のグラスを水滴を人差し指でなぞり、その水で机に円を描いた。

「料理は近くにいたちゃんと同じ学校の子に奢ってあげたよ。そんで、彼女のこと、ねえ…」

ちゃん、あまり深くは首を突っ込まないほうがいいよ、旦那はそれを望んでいない」

描いた円をそのまま真っ二つに割って、ぐちゃぐちゃにかき混ぜた。

真剣な佐助の声色、眼差しに身震いをした。

これは、まずい。

本当に聞いてはいけないのだろうか。

さっきのお店では、少し教えてくれた。つまり…

―これ以上は知ってはいけない ?―

「まあ、そのうち旦那から話すでしょ、俺様が勝手に全部話したら絶対旦那怒るもん」

「え、あ、ああそうだね」

なにか、なにかつっかかる。なんなんだろう。

佐助は何がしたい?自己防衛?

それにしては佐助は楽しんでいるようである。

「まあ今はそんなに考えることはないよ、あ、学校のほうには倒れたから早退するって言っといたから心配しないで大丈夫だよ」

「あ、忘れてた!私まだ授業あったじゃない!わあ…助かったけど助かってない」

ああ、授業が…どうしようか…

むーんと悩んでいると佐助は「でもさ」と言った。

「それよりも今は伊達の旦那の心配するべきじゃないかな?とこいるか分からないし」

ね?と携帯を指さし、メールとか電話とかしてみるといいんじゃないかな、と佐助は促した。

私は急いで自分の携帯を取った。

早く、早く政宗の居場所を知りたい、今はそれだけでいい!

かつてないほどの速さで電話帳を開き、政宗のところを決定する。

電話番号の上で一瞬の躊躇いを感じたが、発信ボタンをゆっくりと押した。

1コール、2コール、3コール…

出ないか…?そりゃあそうだよなあ。あれだけすごい勢いで逃げたんだもの。出るわけな…

「Hey,

6コール目で出た政宗の声は、なんだか苦しそうな声だった。

何が…あったんだろう…

私はドキドキしながら口を開いた。











後書き
さてさて、復活してからようやくの更新です。そうです前回から急展開スペシャルなのです!
実はちょっとBASARA熱が冷めかけており、これはいけないと思ってのろのろと書いておりました。
相変わらずどこかつじつまの合わないひどいところがあると思います。すみません。
政宗と佐助は睫毛が長くて華奢な感じがいいですよねえ、という妄想でした^^